授業「情報科学」の参考文献-第3部

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本タイトル 著者
誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論 D. A. ノーマン
「分ける」こと「わかる」こと 坂本健三
構造主義進化論入門 池田清彦
分類という思想 池田清彦
デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニン 佐藤好彦
レイアウト、基本の「き」 佐藤直樹
超芸術トマソン 赤瀬川原平
「物」と「場所」の意味論―「大きい」とはどういうこと? 久島 茂

誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論 |新曜社 | D. A. ノーマン|

誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論

誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論

アフォーダンスという概念を広く知らしめたのはこの本…の改訂前のもの。前の本ではシグニファイアは出てこなかったんだけど、色々とツッコミを受けて、シグニファイアの概念を導入することにしたそうだ。というわけで、読むなら是非この増補・改訂版を読みましょう。…ただし、私が授業で説明した、「情報の発信者がデザインに与える意図がシグニファイア」で「情報の受信者がデザインに感じる意図がアフォーダンス」という説明は、私が勝手に整理したものです!なので、この本を読んでも多分そうは書いてない。多分と言うのは、私が現在まだほとんど読んでないから分からないということなんだけど。そういう意味では、岡田の言ってる事が無茶苦茶なのか、岡田の整理の方がずっといいのか、判断するために読んでみてもいいかもね?

「分ける」こと「わかる」こと | 講談社学術文庫 | 坂本健三|

「分ける」こと「わかる」こと (講談社学術文庫)

「分ける」こと「わかる」こと (講談社学術文庫)

この本は、結論として以下の三つを挙げている。

1.分類は認識や行動のために人間がつくった枠組みであって,存在そのものの区別ではない。
2.分類をつくる際には,かならず「その他」や「雑」の項目をおいておくことが有用である。
3.「わかる」とは,その分類体系がわかるということであり,「わかり合う」とは,相互に相手の分類の仕方がわかり合うことである

このまとめは素晴らしいと思った。では、この本全体が素晴らしいかと言うと…。この本は、古今東西の分類について紹介していて、それぞれのトピックが結局どう関連しているのかは良く分からないように思う。分かるのかもしれないが、私が一度読んだ限りではあまり印象に残らなかった。でも結論の章だけでも価値があるんじゃないかな。

構造主義進化論入門 | 講談社学術文庫 | 池田清彦|

第一部の読書案内で挙げた「構造主義科学論の冒険」の作者の本。現在の進化論の主流はネオダーウィニズムと言うらしいんだけど、それだけじゃ説明できないことがたくさんあるので、進化ってもっと違う形なんじゃない?というような主張の本。その中で情報に関する話題が出て来る。DNAは、実際に書かれた記号だが、記号の意味はそれがどう読み取られるかという解釈系があって初めて決まるのであって、記号列だけ見ていても生物のことは分からないのではないか?というような話。

分類という思想 | 新潮選書 | 池田清彦|

分類という思想 (新潮選書)

分類という思想 (新潮選書)

上と同じ作者の本。これは、分類とは何か、分類とはその人の思想の表明だ、ということを論じた本。全ての分類は人為分類(世の中にもともと分類があるのではなく、人が分類したから分類がある)ということを強調している。上の『「分ける」こと「わかる」こと』でも結論は同じだが、この本はそのプロセスがちゃんと書いてある。だからオススメなんだけど、結構難しいかも。

デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニング | MdNコーポレーション | 佐藤好彦|

デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニング(CDROM付)

デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニング(CDROM付)

良いデザインって何かと考えると、結局のところ、人間が上手く情報を読み取れるのが良いデザインなわけです。とすると、良いデザインの根拠は、人間の感じ方にあるということになる。そういうことをズバッと書いてある。デザインって、カッコいい絵を描いたりするだけではなくて、紙やパワポのスライド上で要素をどう配置したらいいのか?みたいなことでもあるので、皆さんにも関係あると思うのね。ちなみに、私は手を動かすところまではやってないです。そういう人には、同じ作者の「デザインの授業」ってのの方が良いのかもしれないけどまだ読んだことないです。

レイアウト、基本の「き」 |グラフィック社 | 佐藤直樹|

増補改訂版 レイアウト基本の「き」

増補改訂版 レイアウト基本の「き」

特に文章の配置について詳しく書いてある。例えば行間と行長はセットで考える、なんてのは、実物を見てみれば一目瞭然です。
デザインの本って凄くカラフルな絵が入ったものが多いんだけど、やっぱ私が使うものの基本は文章なので、文章のレイアウトについて詳しく書いてある本はありがたい。

超芸術トマソン | ちくま文庫 | 赤瀬川原平|

超芸術トマソン (ちくま文庫)

超芸術トマソン (ちくま文庫)

これは凄くバカバカしい本です。

「物」と「場所」の意味論―「大きい」とはどういうこと? | くろしおカイブックス | 久島 茂

「花壇の広さ」と「ハンカチの広さ」という言葉を比べると、ハンカチに対しては「広さ」という言葉は不適切で、「大きさ」などと言うべきな気がする。これは、花壇というのは「場所」で、ハンカチというのは「物」だから、ということらしい。そんな話から始まって、言葉が持つ属性の不思議な理屈について掘り下げていく本。例えば「長い顔」とは言うが、その反対の「短い顔」とは言わない。これは、顔の標準の状態が「丸い顔」あるいは「四角い顔」であって、そこから変化した状態が「長い」であるから、なんだって。