バランスをとるとは自分の嫌いなことをすることだ

「何事もバランスが大事」「過ぎたるは及ばざるがごとし」みたいなことって、それだけ聞くと「そうだよね~」って思うと思うんですが、それこそ「言うは易し行うは難し」みたいなものだと思うんですよ。

 

この前の渋谷のハロウィンの騒動とか見ると、私個人がああいうウェイな人達が好きかというと好きではないんですが、多分あの人たちは、私には足りないものを持ってるんだろうな、という気がするんです。参考にすべきものがあるんだろうなというか。それは例えば、人に迷惑をかけてでも自分が幸せになろうとする態度、とかです。

 

仮に私が「人に迷惑をかけてでも自分が幸せになろうとするのは良くない」という信念を持っているとします。信念を持っているぐらいだから、そういう考えは良いと思っていることでしょう。では、良いと思っていることは、どこまでも前に進めてしまっていいのでしょうか?おそらく、ある一定以上になると、自分の労力ばかり増えて、別に他人にとっては変わらない、という状態になってしまうでしょう。そうなったら、少しは揺り戻すのが正しいと思います。

 

でも、「信念を持って進んでいる方向から揺り戻す」って、当事者からすると、「自分の嫌いな人がやってるようなことをやる」になるわけですよ。自分が嫌っていたものに自分がなる、正しいと思って進んでいた方向とは逆方向に進む、そんなことは耐えられない、だから出来ない、ということになりがちなんだと思うんです。「バランスを取る」というのは、そういう理由で難しいのではないかなと思います。

 

「本当に困るのは自分を正義だと思っている人だよね」という話がありますが、それは「信念を持って進んでいる方向から揺り戻せない」ということに当たるのではないでしょうか。この言葉を、他人を批判する言葉としてではなく、自分を戒める言葉として使うのならば、「信念なんかいつでも放り出せる」人間になる必要があるのかもしれないなと思います。

 

そういう意味では、自分の嫌いな人には、自分が上手く生きるためのヒントがあるのではないかと思います。反面教師としてではなく、正しく教師としてです。普段は必要ないですが、自分が行き過ぎてしまった時のヒントとして。