言説

縦割り組織は望んで生まれるわけではなく仕方なく生まれる

前回の話の続き。前回は、第一次世界大戦時に、官僚的機構が複雑さの限界を超えて身動きできなくなってしまった、という話。 suck-a-sage.hatenablog.com 官僚は縦割りだとよく文句を言われる。では、官僚を縦割りでないようにすることができるだろうか。 私…

正しいことだからやめられない。だからバランスをとるのは難しい。

この前、「バランスをとる」ということは自分の信念に反する行為をするってことだから、思ってる以上に難しいよね、という話をしたのですが、あんまり伝わらなかった気がするので、こういう説明はどうかなあと考えてみました。 (前回の記事) suck-a-sage.hat…

筋トレで一度太らないと筋肉が付かないのはなぜか?

鍛えることで成長する場合と潰れる場合の違いはどこにあるか 2年前に一度ぎっくり腰になってから、何か対処しなくてはいけないかなと考えていて、最近(元文章を書いたのは2019/2/27でした)ついに筋トレを始めました。第一の目的はぎっくり腰の予防なのですが…

第一次世界大戦に学ぶ「専門性の向上による組織の硬直化」

今回はオリジナルの話ではなくて、「無形化世界の力学と戦略」(長沼伸一郎)という(PDFで買った)本の中での、第一次世界大戦についての解説から一部を切り取った話になります。 無形化世界の力学と戦略 正直この本を読むまで、第一次世界大戦がどういうものな…

バランスをとるとは自分の嫌いなことをすることだ

「何事もバランスが大事」「過ぎたるは及ばざるがごとし」みたいなことって、それだけ聞くと「そうだよね~」って思うと思うんですが、それこそ「言うは易し行うは難し」みたいなものだと思うんですよ。 この前の渋谷のハロウィンの騒動とか見ると、私個人が…

個性は尊重することに価値がある

突然ですが、私は女性の生足を見ると性欲が高まります。では、女性の生足が好きか?というと、それはちょっと微妙な問題です。性欲を開放して良い状況でならもちろん好きですが、性欲を開放してはいけない状況で生足を見せられると、性欲が行き場所に困るか…

ジョン・ケージの「4分33秒」を聴いて

(以前書いたものに加筆修正しました) 2014年2月15日の筑波大学ピアノ愛好会卒業コンサートで、ジョン・ケージの「4分33秒」が演奏されました。それを聴いて、思ったことをまとめておこうと思います。 ご存知かと思いますが、この「4分33秒」という曲は、その…

「努力して問題を解決する」ことと「努力して実力を高めてその実力で問題を解決する」ことの違い

すごく微妙な話なんですが、「努力して問題を解決する」ということと、「努力して実力を高めてその実力で問題を解決する」ということの違いについて最近よく考えます。 武井壮(タレント・十種競技の選手)がこんなことを言っていました。「色んなスポーツ選手…

幸せになることに真剣になろう

最近自分は、幸せになることに昔より真剣になったと思う。以前は、自分が何か勉強したりして能力を高めることはしていても、それを本気で自分を幸せにするために使っていなかったような気がする。 例を挙げよう。私はとても痩せているので、身体が弱いという…

単一スキルの成長は対数関数的だが、総合力の成長は指数関数的になる

単一スキルの成長曲線は対数関数的になるが、総合力は指数関数的になる、というようなイメージがある。 例えば走る速さみたいなものは、まさしく対数関数的になる。つまり、だんだん成長が緩やかになっていく。普段全く走っていない人は、少し練習するとすぐ…

完成度と減点法

日々食べたいものが思いつかなくて困っている私ですが、今日も昼に何を食べようか迷ってウロウロした挙句、なんとなく目に留まったロッテリアに行きました。そういえば最近行ってなかったなあと。 それで「絶品チーズバーガー」というのを頼んで食べたのです…

皆さんは私の力を授けて良い人間なのか

これは自分の持ってる授業で、毎回一個ずつエッセイを書いて配っていたものの、最終回で配ったものです。偉そうなことを書いて恥ずかしくもあるのですが、ずっと問題意識として持っていたことなので、皆さんにも見てもらいたいと思っているので、公開します。…

差別されたくないことと、差別をなくしたいことは対立する

「差別をやめよう」という言葉には、どうやら似ているようで全く異なる二つの意味がある。一つは「差別すること自体をやめよう」という意味で、もう一つは「差別はあってもいいが、(自分やその他の具体的な誰かを)その対象にするのはやめよう」という意味だ…

皆既月食を見なきゃと思った話

この前、皆既月食と赤い月を見ました。正直、見たいかと言うと別に見たくなくて、義務感みたいな気持ちで見ました。その義務感というのも、周りに話題を合わせなきゃというものではなくて…。じゃあなにかと言うと…。 そういうイベントがあると、良いカメラで…

人と違って、人に興味がないなあということ

ちょっと前にテレビでe-sports(電子的ゲームによる競技)の特番をやっていたらしく、それを見ていた母が興奮気味に私に内容を解説してきた。ストリートファイターVのときど氏の話だった。母としては、私がゲームが好きだから乗ってくると思ったのであろうが、…

意思決定と全体を把握すること

"アホな教師、荒れた子供は、どんどん減ってる。 でも頭のおかしい母親は、どんどん増えている。 理由は簡単で、健康から教育まで「母性の不安」を煽る事が、広告マーケティングの主戦場になっているから。ある意味、可哀想な被害者なのだ。"https://twitter…

アナログ時計はいつデジタル時計になったのか

「アナログ時計はいつデジタル時計になったのか」と言われたら、普通は「そうだよね確かにアナログ時計の後にデジタル時計は発明されたよね~」と思うことだろう。それは確かにそうなのだが、今から話すのはその話ではない。実は、我々がアナログ時計と呼ん…

繋がり過ぎる世界の倫理

インターネットによって我々はすごく簡単に人と繋がることが出来るようになったわけですが、繋がり過ぎて疲れてしまったという人の話もよく聞きます。facebook疲れなんて言葉もありますし、LINEの既読スルーを咎めるなんて話もありますね。 これまでの人類は…

日常を音楽の本番にしたい(ピアノ弾き向け)

音楽における「本番」がコンサートに偏り過ぎてはいないか 私は長くピアノを弾き続けていますが、ここ5年ぐらいはコンサートには出ていません。ピアノを弾く人には、コンサート(あるいはコンクール)に出演するという目標を立てて、それに向けて練習するとい…

人はなぜハゲるのか

「人はなぜハゲるのか?」と研究室で後輩たちが話していたので、私がその場で考えて答えたのは、こんな話だった。 大阪大学の近藤滋先生がネットで公開していたコラムに、シマウマがなぜ縞模様を持っているのか、ということに関する解説があった。ちなみに今…

ドレスコードのある店は客の代わりに店が差別をしている

子供の頃は分からなかった、ドレスコードというものについて。 子供の頃、ちゃんとした服装をしていないと入れない店というのは、漫画の中でしか知りませんでした。そしてそういう店が出て来る話ではいつも「服装で人を差別する悪い店が反省する」というお話…

「日本」の本体は読みではなく文字である(のかもしれない)

その昔、「日本」には「にほん」と「にっぽん」の二つの読みがあるけど、どっちが正しい読みなの?と思って、調べたところ「どっちも正しい」と書かれていて、ええーそんなのありかと思ったことがあったのですが、皆さんがそれを調べたことがあるかどうかは…

人間とコンピュータが意思疎通できるとはどういうことか

2016年10月21日に、情報サービス産業協会(JISA)というところが主催するJDMF(JISA Digital Masters Forum)2016というイベントで講演をしました。そこで話したのがこの話…というわけではないのですが、講演の一部を切り取って詳しく解説を書いて協会の会誌に寄…

人にはそれぞれ想いがあり物語があるのだということ

週刊少年ジャンプで掲載されている「ワールドトリガー」という漫画が好きです。その中の特に好きなエピソードを紹介します。 ワールドトリガー 12 (ジャンプコミックスDIGITAL)作者: 葦原大介出版社/メーカー: 集英社発売日: 2015/09/04メディア: Kindle版こ…

人には向き不向きがあってそれぞれ力の出せる方法は違うのではないかということ

最近、人はそれぞれ結構違うんじゃないかなあと感じるようになりました。当たり前と言えば当たり前なんですが。でも当たり前なことこそ重要だと思っているので、確認の意味も含めてまとめてみます。 仮に「天才」な人が居たとして、その人がバリバリ成功して…

「5分で分かる!自由意志」

人間に自由意志はあるか?という問いに対しては、自由意志と呼ばれるものには3種類あると考えると上手く整理できます。 1つ目。 自由意志があるかということを他の人にも分かる形で示せるかというと、それは示せません。我々が自分で決定したと思っているこ…

イスラム国を馬鹿に出来ないはずの日本

以前、NHK解説委員の出川氏によるIS(イスラム国)についての講演を聞く機会がありました。その中で、ISがイラク政府と戦う際の戦法の話がありました。どんな方法か。例えば、トラックを改造し、車体の周りに鉄板を貼り巡らせて、兵員輸送の装甲車のようにする…

人工知能が罪を犯せるようになるには

以前書いたもののリメイク。そんなに変わってません。 現在、ロボット(人工知能)がもし事故を起こしたらその責任は誰が取るのか?ということが大きな議論の的になっている。多くの場面で自律型のロボットが導入される未来を想像すると、ロボットがいずれ重大…

メッセージは科学的に正しくないからこそメッセージになる

(この文章は自分的には論理の展開がおかしい気がしているんだけど、見直してそのうち仕上げたいなので、公開しといた方が自分でも確認しやすいので公開しておく)(この文章の趣旨的には、「メッセージ」は「科学」と一緒で、情報量を増やすものなので、それを…

すべての人を罪人に出来るルールは諸刃の剣である

その昔、ヨーロッパで魔女狩りという風習があった。ざっくりと解説すると、今起きている社会の問題は人間に紛れている魔女が起こしているから、その魔女を見つけ出して殺さねばならない、というような風習である。その際、疑いをかけられた人が魔女なのかど…