The Very Best of OGR GALLERy 〜オブジェ〜

The Very Best of OGR: GALLERy 〜オブジェ〜

The Very Best of OGR: GALLERy 〜オブジェ〜

やっぱり結構検索で訪れてくれてる人も増えたので,積極的にいいものを紹介しておきたいと思ってきた.というわけでまずこれを.一日一個ぐらい書こうかね.


このCDは,私が持っている全CDの中で最高の作品である.ピアノのCDを入れると,「ホロヴィッツアンコール」と「カプースチン自作自演集Vol.1」と一位を迷うのだが….とりあえずゲーム音楽のCDとしてはダントツだと思う.


このCDはOGR(小倉久佳さん)の作品の中から,単に選りすぐるだけでなく,一般のアレンジャーも参加して作ったベスト版である.よって,普通のゲームのオリジナルサントラと比較するのはいささか気が引ける.オリジナルサントラにはゲーム全体での緩急が必要であるから,「引き」の要素が入り,一曲の密度としては少し下がらざるを得ない所があるからだ.全曲演奏が前提なショパンのプレリュードみたいなものだ.


このCDは,全部の曲が最高密度で作られている.しかしそれでもアルバムとして続けて聴いて満足できるようになっているというのはもう驚異的としか言いようが無い.ちなみに2枚組みで,合計時間は105分(1時間45分)ほどだ.曲数は25ということで,これもゲームサントラとしては一曲が長い.平均4分ほどだ.


まず音色の追求が凄い.電子音楽は生楽器の代替品ではなく,あくなき音色への追求のために制約をとっぱらった物と感じる事が出来るだろう.そしてその組み合わせ方による音響の心地良さ.ミキシングも完璧ですべての音が調和しつつも立って聴こえる.ミキシングも専門のエンジニアに協力してもらっているようだ.桜庭さんもそれぐらいの予算が付くといいですね….


楽曲自体はベタベタなものから,聴いているこっちが発狂するんじゃないかというレベルで特殊なものまで多種多様に揃っている.あまり感傷的ではないかもしれない.しかしどの曲をとっても構成がしっかりしていて聴きやすい.


このCDのアレンジがあまりに良かったので、書いてあったアレンジャーの名前を検索してみたら、普通にJPOPとかのアレンジをしている人達だということが分かった。そのときようやく私はJPOPというものを、よく聴きもせず馬鹿にしていたことを認める気になったのだった。ゲームミュージックは馴染んだフィールドではあったが、そこに凝り固まってはいけないと思った。


当時は入手困難だったので私はこれをヤフオクで手に入れたが,今ならiTunesで2,400円で買えるので,是非聴いて欲しい.私としてはブックレットも最高だったので,後悔はしていない.