金でレベルが買える件について

(クソ長い上に構成も悪い駄文ですが,もったいないので一応載せときます)

話題の焦点となったのは、「LVアップ+5」(200MSP/約300円相当)や、「30万ガルド」(300MSP/約450円相当)といった、キャラクターのレベルを上げたり、ゲーム内のお金を増やしたりできるコンテンツが販売されていた点。これについて、ゲーム関連のブログや掲示板などでは、その是非をめぐってさまざまな意見が交わされている。

 ポイントはやはり「レベルやお金を売り買いしていいのか?」という部分。「社会人ユーザーにはありがたい」、「攻略本と一緒で、反対なら買わなければいいだけ」、「ユーザー側の選択肢が増えた点は単純に評価すべき」といった“肯定派”も多い一方、「レベルやお金を買ってまでしてクリアしたいか?」といった、プレイヤー倫理的な側面から拒絶反応を示す人や、中には「メーカーが自ら“レベル上げは作業”と認めたようなもの」、「いずれDLCを買わないとクリアできないような作品が出てこないか心配」といった、メーカー側の姿勢を非難する声も多く挙がっており、問題の根深さや、さまざまな見方があることに改めて驚かされた。

 こうしたレベルやお金の販売は、オンラインゲームなどでは今や当たり前になりつつあるが、家庭用ゲームでの採用は今回が初めて。あなたなら、レベル上げや資金上げの時間がお金で買えるとしたら、利用してみたいですか?


日々是遊戯:レベルやお金の販売はアリ? ナシ? 「TOV」のダウンロードコンテンツをめぐって議論白熱


私のスタンスとしてはもうずっと前の段階からダメだという気持ちは一貫してある.具体的に言うと,時間をかければ誰でもクリアできるようなものはそもそもゲームじゃない,ゲームとはゲームをやっているプレイヤー側の成長を楽しむものである,という立場の人間なわけで,普通のRPGというのは基本的に失格だった.だから,今回のお金でレベルが購入できる事に関しても,まあ大したことじゃないかなあというか,「やっぱりゲームじゃ無いものをやってるんだよね」と再確認しただけのような気もする.


で,それはそれで一つの結論として,じゃあ「ゲームじゃないものは面白くないか?」という問題に入らなくてはいけない.実際RPGのレベル上げがつまらなくてやりたくないものか?と聞かれると,私はそうでもないと答えるような気がする.それは,一日中面接官をやって人と喋りすぎたら,無性にカキ氷機を回しているのが楽しくなるような感覚としてだ.例えが悪かったかな(笑).プチプチを潰していたくなるようなものだ,にしておこうか.そういう,単純作業に没入したくなる事も,時にはある.ゲームを広い意味のエンターテイメントとして見た場合,そういうものがあってもいいじゃないか,という立場自体には賛同する.三国無双とかも同じような理由でやってる人がいること自体は理解できる.


あるいは,トレーディングカードゲームで最初にカードが少ないのは,選択肢を少なくして戦略や戦術を立てるハードルを下げている,と考える事もできる.これが増えていくのはRPGの成長要素と大して変わらないから,RPGでも逆にそういう面があるといえるかもしれない…と思ったが,トレーディングカードゲームと比べると,トレーディングカードゲームはゲーム本編はすべて手の込んだチュートリアルであり(笑)*1,クリアしてカードが揃ったところから本当のゲームが始まるのに対し,RPGではその先のゲームが用意されている事はまず無い.ポケモンなんかは一応その後対戦したりできたという点でゲームだったように思う.ただ,それに必要な作業が重すぎて印象悪いんだが….


もう一つ言っておくと,RPGをゲームとして楽しむ方法というのがある.それは,自分で目標を決めてゲームにしてしまう事である.「低レベルクリア」や「タイムアタック」などの目標を決めれば,それを達成するにはどうしたらいいかということは十分に頭を使うことになる.しかし,当のゲーム自体はプレイヤーが自分で設定した目標に対して頑張っていても,評価はしてくれない.そして,初めてやるゲームに対して,短時間でクリアするための指針が立てられるかというとそれも難しいし,何度もクリアするには一回が長すぎる.マリオ1なら毎日タイムアタックに挑めるのだが.


しかし,私を含めて,ボスが弱すぎると興ざめだから,別に稼いでてもいいけど先に進もうという強迫観念に取り付かれている人も多いはずだ.これはボスの瞬間の戦闘の中でぐらい戦術性があって欲しいと願う行為であり,煮え切らない低レベルクリアとタイムアタックだ.こういう局面になると私はもどかしさを感じる.なんで全力を尽くしたとしても戦術が必要なように作ってくれないんだ,と.こういう気持ちを何度も経て,だんだんRPGというものの矛盾を弁護できなくなってくる.


そして,昔は実世界を含めてゲームとして機能していたものもあった.ドラクエをクラスで最初にクリアできたかどうかというのは,確かにステータスだった(と,世代が少し下の私は想像で断言してみる).しかしそれもゲームといえばドラクエの時代が終わり,つまり多様化が進み,ほとんど機能しなくなった.


さて,ではテイルズのような普通のRPG(ということにする)において,皆が何を楽しんでいるか,ということを明確にして,今回導入したものが,その楽しみをそぐものであるか,ということを考えてみよう.すると,多分ユーザーは物語を楽しんだり,キャラが喋るセリフを聞きたかったり,ダンジョンの仕掛けを解いたり,世界に浸っていたかったり,ボスと接戦を繰り広げたり,そしてつまらないけどたまにやりたくなる単純作業(=稼ぎ)をやりたかったりするのだろうなあと考える事が出来る.そして,特に大事ではない単純作業は,すっ飛ばしたい人はすっ飛ばしてもいいよ(=面白さとは関係ないよ)と言ってしまったという事だろう.


というわけで,所詮時間つぶしの部分をすっとばして,他の部分を楽しみたいという欲求は当然理解できる,というのがまずここまでの結論.しかし問題はまだある.それはお金を払うべきところか?ということ.


元々,面白くない単純作業をユーザーに強制していると言えなくもない.それが楽しめるのは,一部の疲れた人だけだ(その一部が多いとしてもここでは一部と書く).そんなものは,本来無くてもいいもののはずで,やりたい人だけがやればよい.つまり稼ぎなど全く必要無い様なぐらい経験値とお金が潤沢に手に入るようにすれば問題無い.具体的には最初に「稼ぎ必要なしモード」と「稼ぎ必要ありモード」が選べればよい.


「選択肢が増えるのはいい事」,という意見もあるが,メーカーがレベルアップに値段をつけているということは,完全版は面倒な作業が無い方だと認めているということである.それは非常に不健全な態度だ.稼ぎが好きな人を馬鹿にしているとも言える.その選択は,是非無料で出来るべきであった.

*1:いや,ラスボスが激強ければそんなことにはならないのだが,最近のゲームでそうだったことはまず無い