大筋かディティールか

例えばパワーポイントでスライドを作る時に,図の良さを決めるのは,大枠の区切りか,細かい調製か,とかいうことを考えると,私は基本的に大枠には時間を割くけど,細かい調製は適当にしていると思います.でも昨日情報処理のTAをしていて,1年生のスライドがやたら良く見えたのは,パワポ2007の用意しているデザインが豪華だったという点もあるような気がするのです.それは,質良く調製された素材(テキストボックスとか)を使えるからかなあと.


単純にデザインを何度かした経験を思い出すと(CDジャケットとか,コンサートプログラムとか),かなりの時間を細かい調整に費やしてたような気がするのです.それが「プロっぽさ」を出すために必要だと感じていました.それはデザインというものの特性としてディティールが重要だという事なのか,私自身が「大筋(ここでは,センスとも言える)に自信が無いから,それ以外の頑張れる所を頑張ろう」と思ったからなのか,まだ良く分かりませんが.


ひるがえって音楽ですが,私はどちらかというと「ディティール否定派」でした.でもこの前気に入ったbatasanの「光の空中散歩」とかは,大筋での音楽というより,細かいところがいいなあと思ったのでした.そんなところから,この話を考えていました.


分からないのは,「ディテールは大筋を見せるためのもの」なのか,「ディティールは付加価値を与えるものなのか」という点です.私は前者の視点で,「いくら良さそうに見えても中身が無いものはダメだ」と思っていたのですけど,ディティールの積み上げによる価値ってもあるかなあと思うようになってきました.


たとえばゲーム曲の場面ごとの書き分けとか,あるいはソナタの2楽章の書き方とかで,「この場では主張を抑えなければならない」といったときに,「主張を抑えた分ディティールで魅せる曲にする」みたいなことが意識できればいいんじゃないかなーと思ったのでした.また逆に,「この曲はどちらを聴く曲か」と意識して聴くことができれば,楽しめる音楽の幅も広がるような気がしました.