音楽と絵画の非対称性

非常に狭い見方かもしれないが、私にとって「芸術」と言えば、音楽と絵画が思い浮かぶ。音楽と対比させるなら絵画は「美術」と言った方が良いのかな。Wikipediaを見ると「美術、文芸、音楽、演劇など。」とか書いてある。


音楽も、絵画も、今日では一般の人が気楽にできる芸術の代表である。「鑑賞」も芸術活動かもしれないが、今回はそれは話に含めない事にする。


ふと、その性質の違いについて少し気になった。音楽は、それをたしなむ人口に比べて、創作をする人が異常に少なくないだろうか?つまり、楽器を演奏する人に比べて、作曲をする人は凄く少ないのではないか?絵画で言う「模写」を熱心にやるだけで、それが芸術活動として認められるのは何故なんだろう?


作曲をしたことのある身からすると、作曲というのは別に難しくない。適当に楽器を弾いて「これが曲です」と言い張れば作曲完了だ。難しいのは良い曲を作曲する事であって作曲そのものじゃない。


これが絵画だとどうだ。幼い頃から、自分の想像を描き出して発表することなんて当たり前に行われているではないか。「これが私の描いた○○の絵です」と、言い張ってきたではないか。少なくとも学校教育の間は。


楽器演奏は「再現芸術」と呼ばれたりする。絵を模写するのは絵→絵という同じ次元の変換だけど、楽譜→音は違う次元への変換だ、というのは分かる。でもそれはちょっと昔の話だと思う。今は楽譜より録音の方が優勢だ。そして録音を再現するのは音→音の変換であって、模写に近い。ならばそれほど変わらないのではないか。


逆の見方をすると、絵画が「模写」を軽視し過ぎな可能性もある。過去作品の成り立ちを詳しく知ってから自分の表現を探すべきという主張には異論はない。(本格的に学んでる人の事は対象外、あくまで趣味の人の話)


特に結論は考えてなかったんだけど書いてて思いつきもしなかったので、ぼんやり思う事を。作曲というものをみんなもっと気軽に捉えたらいいんじゃないかなと思う。


理由自体は色々考えられる。音楽ってのはそもそも抽象的だとか、ルールが多いものだとか。でもなんとなく、まだ不思議。

芸術の大衆化と参加する事

なんで昔の芸術の方が凄いような気がするのかということ。

  • 時代が進むときに、皆に認められたもの以外は忘れられていくので、残ったものは今の平均よりは精査されたものになる
  • 芸術は元々貴族等一部の人のものだった。そういう人達は本当に教養が高かったので難しいものも積極的に受け入れた。今は芸術は庶民のものになった。つまり庶民である我々のレベルに合うようになった。
  • だから鑑賞専門の人が不満を持つのは分かる。そういう人は皆が自分と同じように楽しんでいない事を知るべきなのかも。すなわち、「参加して楽しんでいる」のだということ。