ゲド戦記(1〜3巻)

古典の名作と言われるのは出来る限り読んでおきたいよなーという気持ちで、3大ファンタジーの一つと言われるゲド戦記の小説版を読んでみたのですが、かなり面白くて個人的にはお気に入りのシリーズとなりました。


ゲド戦記と言えばジブリの映画がつまらないことで有名ですが(?)、宮崎駿は元々ゲド戦記の原作が大好きだったらしくて、息子の吾郎が映画を作ることになったときに作者のル=グウィンに会って、いかに吾郎が原作の素晴らしさを理解していないかを雄弁に語ったとかいうさすが宮崎駿だなっていう畜生エピソードがあるそうです。それはさておき。


ゲド戦記は6巻まで出ているのですが、3巻までで一旦ひと区切りしたと思ったら、30年以上経ってから4巻が出てみんなびっくりしたとかなんとか。私は今のところ3巻まで読みました。4巻以降はなんか急に現実に引き戻されるような辛さがあるらしいですが、まあそれはそれで楽しみです。

影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)

影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)


1巻の「影との戦い」は、主人公のゲドがまだ若くて、自らの才能と向き合う話。2巻はゲドがかなり名声を得た後の話で、女性の自立の話(作者のル=グウィンは女性)。3巻はゲドが大賢人としてトップまで上り詰めた状態で、死に向き合うお話。かな。


一応映画に出て来るアレンは3巻の登場人物なので、映画版は3巻を元にしていると言えそうですが、何もかもが違うので特に関係はないと思った方がよさそうです。そもそも舞台設定からして、アースシーっていう海がメインで島が連なっているポリネシア地方みたいな世界なので、船で移動する場面がすごく多いんだけど、そんなイメージ映画でゼロですよね。私は小説版を読みながら、ゼルダの伝説風のタクトを思い出しました。多分参考にしてるんだろうなあと(もちろんゼルダゲド戦記を)。


ゲド戦記の世界では、本名はバレると相手に好き放題されちゃうので、普段は通名を使っているという設定になっています。「ゲド」は本当の名前で、普段は「ハイタカ」っていう名前を通名にしています。こういうモチーフは他の作品でも結構出て来るし、例えば我々がインターネットを使う時にハンドルネームを使って、本名がバレると嫌がらせされたりして危険(笑)みたいな現状にも似てる気がして、このあたりの設定に私は一番興味があったんだけど、それに関して特に目立った示唆は得られませんでした。ただし、物語上はすごく有効に機能はしていて、友人のカラスノエンドウが本名を明かすシーンには感動しました。


深みのある作品だと思うけど、作中の雰囲気自体は結構地味で、名作だぞーって子供に読ませようとすると子供は退屈しちゃうかもしれない。私はハリーポッターって倫理観があんまり好きになれないんだけど、やっぱり子供が楽しめるという意味では結構レベル高い作品なのかもとか思い直したりしました。


読んだ後にジワジワきて、なんとなく読み返したくなります。うーむさすが名作や、と思いました。オススメです。