いろんな学問への導入の小話

よく「○○先生のおかげで△△学の面白さが分かりその道に進もうと思いました」みたいな事言う人が居るんですが,私はそういうの聞くと「どの学問も気付いてないだけで面白いんじゃないの?」と思ってしまうのです.そこで,色んな学問について,専門外の人にも面白さが伝わるような話をそれぞれ用意しておけないかなあと思っています.


中学生,あるいは,専門外の大人が聞いて興味が持てそうな話題をストックして行こうという魂胆です.思いついたら追加して行きたいと思います.なお,基本的にどれも専門ではないので,間違いがある可能性は多々あります.(専門でも間違いはあると思うからいいけど)

情報学

「は」と「はっぱ」は何が違う?「は」だと同音異義語がたくさん生まれてしまうが,「はっぱ」だと「葉っぱ」「発破」ぐらいしかない.これは意味は同じだが伝達性を上げているのであり,これを冗長性と言う.


我々が慣れ親しんだものの名前は,略語という形で短くなって行く.これは冗長性を削っていることになる.もちろん伝達性は下がるが,それでも皆にとって一意に分かるからこそ略語は機能するのである.


我々にとって身近な,身体のパーツなどの名前は「て」「め」「はな」など短いものが多い.これはよく使う語には短い語(符号)を割り当て,あまり使わない語には長い語を割り当てることで,合計の話す量を短くしようとしている自然な成り行きだと考えられる.

法学(法律学?)

ハンムラビ法典の「目には目を」というのは,野蛮な法であるということではない.それまでは「目には死を」だった.つまり,報復が無限に続いて相手を死に至らしめるまで止まらなかったのを,第三者である法が罰の上限を決めてくれることになった.これは近代法の「罪刑法定主義」に繋がる重要なポイントである.

医学

人間の体は,トーラスである.トーラスとはドーナツの様な形だと思ってもらえればいい.ドーナツにおける「中」とは,ドーナツの食べられる部分であり,真ん中に空いた穴のことではない.


人間の「身体の中」というのはどこの事であろうか.口から肛門までの消化管は,ドーナツの穴に近い.つまり,ほとんど「身体の外」である.そういう場所には菌がいくらでも居る.しかしドーナツの実体にあたる「身体の中」は,無菌に保たれているのである.

生物学

桜(ソメイヨシノ)はクローンである.接ぎ木で増えている.全部が同じ遺伝子を持っているからこそ,気温だけに依存して桜前線が出来る.ソメイヨシノ同士では種を残す事はできないが,他の桜との交配で有れば種を残す事が出来るため,やはりそれはソメイヨシノにはならない.


同様にバナナもクローンである.我々が食べるバナナに種が無いのは,我々が食べているバナナは三倍体(人間で言えばダウン症)という染色体異常だからである.だから種で増える事が出来ないので株分けで増えるのである.