「5分で分かる!自由意志」

人間に自由意志はあるか?という問いに対しては、自由意志と呼ばれるものには3種類あると考えると上手く整理できます。


1つ目。
自由意志があるかということを他の人にも分かる形で示せるかというと、それは示せません。我々が自分で決定したと思っていることは、全て無意識が決めた事を後追いしているだけです。これは数々の実験が証明してしまいました。その意味で、自由意志はありません。


2つ目。
自分の実感として、自分は自分が決定した通りに行動出来ているかどうかというのは、実感の問題なので、実感出来ていれば自由意志があることになります。実感出来ていない人には無いですし、「ときどき思うようにいかない」という人には中ぐらいあります。


3つ目。
他人に示せるような自由意志がないということは、個人には基本的に責任を負わせられないということになります。しかし、この世界は現状では個人に責任を負わせます。責任を負わせるには自由意志があったことにしなくてはなりません。したがって、何らかの基準で、つまり自由意志という直接観測できないもの以外の何かを観測することで、自由意志があるかないかに分けることになります。この意味の自由意志は、個人に責任を負わせたいという社会的な要請によって生み出されます。

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補足


1つ目の自由意志が無くても、2つ目の自由意志は持つことが出来るというのは、盲点になりがちかなと思います。デカルトの「我思うゆえに我あり」と基本的に同じ話です。ちなみに2つ目の自由意志があることは、3つ目の自由意志があるかないかには関係ありません。


3つ目の自由意志は、1つ目の自由意志が無いのであれば無い方が良いのかもしれませんが、単に現状ではあるのであります。有るか無いかは、良いか悪いかとは別のものだから、有ってもおかしくは無いのです。1つ目の自由意志が無いことが分かったのは最近ですし、まだ人類が対応できてないのかもしれません。もちろん、やっぱりあっても良いのかもしれません。


3つ目の自由意志(=責任)は社会的な要請によって発生するので、本来的に恣意的なものです。だから、これをどこまで適用するかは社会の合意があれば自由に変更できます。それこそ、ロボットにだって責任を負わせることが出来ます。という話を書いたのが、この前の「人工知能が罪を犯せるようになるには」です。


おしまい