大学の授業におけるスライドと板書と配布資料
講義形式の授業における資料について、自分の考えをまとめておきたいと思います。
去年の私の授業では以下のようなバランスで資料を用意した。
- 配布資料はA4で1〜2枚(大抵1枚)
- 冒頭10〜30分はスライド
- 残り(計90分)は板書
それぞれの位置付けは以下の通り。
- 配布資料は「まとめ資料」で、講義を聞いて理解出来たら後で見直せば分かるような書き方にしてある。密度が高く、たぶん資料を読んだだけでは理解できない。
- スライドは、その日話す話題の導入としての位置付け。ほとんどが写真や図。
- 板書はその日の講義の本体。
なお、板書内容は書き殴るような感じで一応全部事前に紙に書き出しておいてある。それを見ながら書いていく。もちろん、その場で変えたり、書き足したりする事もある。
こうするに至った経緯。自分で授業を受けていて感じた事がベース。
- 大学で授業を聞いていて、スライドの授業より板書の授業の方が真剣に聞けた
- 書く事が理解を促す面と、単に動いてると眠気を回避できる面がある
- スライドをそのまま印刷した物を配布されると眠くて仕方がない
- 配布資料にする前提で作られたスライドはスライドとしては文字が多過ぎてろくに読めない
- 配布資料としてもスライドと兼用するつもりの物は無駄が多い
- スライドを使うと沢山喋れるが、喋る分が増えると当然理解も難しくなる
- 板書は先生の書くスピードと学生の書くスピードが概ね一致するし、それが伝えられる量の限界のような気がする
- スライドは絵を見せるには適しているし、強い印象を与える事も出来る。紙も節約できる
良い話ばかりしてもなんなので、最初は出来てなかった点も書いておく。
- 初年度は行きの電車でもまだ何話すか考えていたので、配布資料は用意できなかった(スライドは導入の体を成すものは用意していたが、スライドで全部の講義をする準備が出来る状況では無かった)
- 初年度は授業の最後に「まとめ」を書いていた。これをつけるのを自分に課していた。でもこれはただ書いて学生が写すだけになってしまうので、これを配布すればいいと思った
まだ迷ってる点。
- 授業の冒頭だけでは無くて、途中でもスライドを挟んだ方が息抜きになって良いような気がするが、PCと板書を行ったり来たりするのが結構ロスが大きい気がして、あんまりやりたくない
ネガティブな面。私は嫌じゃないけどみんながそうしない理由というか。
- 板書は体力を消耗する
- 配布資料もスライドも板書も違う資料を用意することの大変さ
こんな感じかな。
なお、授業評価アンケートの結果も最近届いたのですが、授業準備については高評価でした。「資料が良く出来てる」「スライドと板書とプリントのバランスが良い」「導入のスライドがおもしろい」みたいな直接的な記述もありました。「板書の量が多い」という不満もありましたけど。
余談ですが、アンケートでは「レポートの他の人の回答を紹介してくれたのが良かった」という意見が多かったです。これはたぶん人によって色んな答えが出る問題にしたから、他の人の回答を知れて良かったいう話になったのだと思います。レポート自体も楽しく取り組めたという評価が多かったです。
あと、私の授業は伝えたい事が抽象的な事なので、その分配布資料が少ないのかもしれません。事例そのものが伝えたい事の場合は、まとめの資料ってもっと量が多くなるんじゃないかと思います。
なお参考までに「遠い昔、パワポ死がなかった頃」っていう記事を挙げておきます。
http://www.aoky.net/articles/garr_reynolds/a_long_time_ago_before_death_by_powerpoint.htm